復旧・復興に向けて

N様   2011/4/24

4/15にメールを頂いているのに、ご返事が遅れました。
いくつかの課題がはっきり見えてきました。
①復旧・復興の議論とともに、並行して進めなければならないのは避難生活の悲 

  惨な状況に対して、生活支援のシナリオをしっかりと持つことです。日々課題

  が変わってきているなかで困難を極めていますが、目がどうしても復旧・復興

  に向いています。プライバシーの問題、健康障害など二次災害を防止する対

  策、働きたいと思っている人たちに働く場所の開拓、仮設住宅への展望の相談

  など、さまざまです。
②これらの問題を含めて、直接、前面に立つべきなのは基礎自治体です。しか

  し、国や県の政策や対策が空中戦のように飛び交っていて、市町村の厳しい状

  況を緩和することになるどころか、翻弄されていて疲労感は増すばかりです。

  市町村役場の活動を支援するところにもっともっと目を向けるべきでしょう。
③津波地域における仮設住宅などでは、高所移転などが色々と提案されていま

  す。ども違うのではないかと違和感を感じ始めています。長い歴史の中で、幾

 度も被災しながら苦しみや悲しみを乗り越えて、町を築いてきたのです。津波

 被災地は、限られた平坦地を市街地として形成してきた歴史の重みがありま

 す。復興の考え方は、減災を中心とすべきで、緊急時の警報や避難システムの

 充実を図っていくべきではないか。人間が自然と向き合うということは、その

 豊かな恵みと向き合うことであるとともにその厳しさにも向き合うことです。

 悲しみや辛さを乗り越えるということは、それを消し去ることではないように

 思えてなりません。そして、高台移転かどうかは、最終的にそこで生活やなり

 わいを継続的に続けていく住民の方々こそが決定すべきではないかと思うので

 す。その意味では、究極の自己決定になるのではないかと思います。いま実際

 に家族や友人を亡くされた人たちには申し訳ないのですが、そういう視点か

 ら、復旧や復興のあり方を考えていきたいと思います。
④飯舘村には、私も長い間関わってきました。小学校をコミュニティの核にし
 ようと建て替えや大規模修繕のたびに、色々な提案をし、実現させてきまし

 た。しかし、今回、菅野村長の苦悩を見て、つくづくと考えさせられていま

 す。私たち、専門家たちの果たす役割についての現状の問題です。何が欠けて

 いるかといえば、彼、つまり政策判断の最終決定者が最終決断を下す際の確度

 の高い情報と判断材料です。ディシジョン・メイキングの場面で、彼は混乱さ

 せられているのです。多くの専門家や研究者がそれぞれに諸説を展開します
 が、それらを相対化し、意味づけをし、自治体の執行部がいよいよ決断を下す

 ときの有効な考え方を整理する役割を担ってくれる専門家たちが周りにいない

 のです。これは早急の対応を迫られる課題です。地元の大学として福島大学の

 災害復興研究所の組織はそのような観点が必要ではないかと伝えています。
⑤何とか、福島県では地元の大工・工務店が担う仮設住宅建設の枠組みを一部で

 すが実現しました。これから原発地域の住民をはじめ、その立地場所の選定を

 しなければいけませんが、これも難問です。働きたい人たちの雇用に結びつく

 ことやふるさととの位置関係を考慮しなければなりません。その双方が簡単に

 は結びつかないからです。
⑥これからいくつかの自治体の復興計画に関わっていきますが、いつも心配なの

 は、避難している人たちのことです。スカイプなどを使って、仮役場と避難所

 の人たちを結びつけることや、「ふるさと復興ニュース」の発行などをNPO

 の仲間と準備しています。
⑦福島県の特別な課題、原発問題は、状況の変化によっては半径2、300kmにも及

 びます(チェルノブイリがそうでした)。原発とどう向き合うか、国を挙げて

 も課題ですが、まあ地域問題に封じ込めることもありえます。注意しながら、

 福島県の会議に臨んでいこうと思っています。

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