県外避難者の支援体制を早急に

東日本大震災で県外避難者した人の8割は福島県民で、その数は約3万6000人、児童・生徒は1万人にのぼる。

こうした人たちの多くは、警戒区域など30キロ圏内の人だけでなく、中通りなどの人もたくさんいる。

先日東京で県外に避難されている若いお母さんたちから話を聞いた。

30キロ圏という同心円の区域設定は、原発の危険性を考慮したもので、放射能の汚染濃度とは一致していない。飯舘村や川俣町など計画的避難区域などは年間20ミリシーベルトという暫定基準値を超えるとして区域設定されたが、文科省は当初大人も子どもの同じ基準にしていたことが、お母さんたちの不安をさらに高める結果となっている。

若いお母さんたちの多くは、子どもは大人よりも数倍放射能の影響を受けやすいことから、比較的放射能汚染が高い中通りから、「自主的に」避難してきた。しかし30キロという区域設定があるために、様々な被災者支援の制度に該当しない場合も多い。そうしたお母さんたちの多くは、せめて同じ福島県民として圏内外で差別せず、同じように扱ってほしいと願っている。

 

もう一つ問題なのは、そうした人たちの多くが「二重生活」を強いられていることだ。子どもとお母さんは県外にいるが、お父さんは福島に残り仕事をし、週末だけ高速バスなどで家族のもとにやってくる。そのため「二重生活」を強いられ、生活費が余分にかかる。いまは避難所でのくらしであるため災害救助法で食費等の負担はないが、入居期限が設定されているところでは、またホテル・旅館を転々とするか、公営住宅に入るかの選択をしなければならない。公営住宅に入った方が生活は落ち着くが、「二重生活」をしているため、県外での生活費が余分にかかり手立てを失っており、やむなくホテル・旅館を希望するものも少なくない。

 

災害救助法第31条には、「第三十一条  厚生労働大臣は、都道府県知事が行う救助につき、他の都道府県知事に対して、応援をなすべきことを指示することができる。」とあるが、これを発令すれば、県外避難者も避難先の自治体で市民と同様のサービスを受けることができる。ぜひ早急に福島県は厚労大臣に発動を求めるべきではないだろうか。

 

さらに県外避難者が「孤立」しないことが大事である。その点では「被災者台帳」を早急に作成し、ひとつひとつの家族がバラバラにならず、つながりを失わないようにしないといけない。そのために、各都道府県に一か所以上、「県外避難者相談支援センター」のようなものを設置すべきであると思う。

そうした枠組みを作らないと、県外避難者は帰るための条件を失ってしまう。

 

    丹波史紀(福島大学災害復興研究所)

 

 

 

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