④被害特性による対応の違いの特質

1)津波被害地域

・宅地の区画形質の喪失

中越地震・山古志村の被害ではどういう宅地の復元がなされたか。山古志のように地崩れで宅地形状が消えてしまった場合の復興つまり土地の区画形質の再画定はどのようにしたのか。津波地帯ではこの課題が大きいし、従前の宅地構成を再現するだけでよいのか。これま横たわっていた、まちづくりの課題をどう解決していくか。一段階高いところをどう目指すか、これが勝負どころになるだろう。ほぼ全域が被災し、自治体機能が失われた地域では、できるだけ同一県内の近い場所での、機能回復に努める必要がある。・都市計画街路の設定は?区画整理などによる?

 

・インフラストラクチュアの復元は

 

・建物復興の考え方

耐震性や対津波(津波の対策を考えると復興のあり方はきわめて困難なものであり、特に海岸に沿った地域での復興はこれまでにない方法をとらざるを得ない。安全な高台への共同建替え、区画整理や耕地整理により地域の再編も必要になる。そのためには行政、地域住民、さらには「専門家」チームを含めた早急かつ十分な議論、国や自治体による財政上の支援が必要である)。 

 

・仮設住宅と居住支援上記のような基本的な課題があるが、まずは、人びとの生活再建と居住支援が緊急で最大の課題である。当該市町村の公営住宅開放や民間住宅の借り上げなどの他に他市町村、場合によっては他都道府県の住宅提供なども大いに活用すべきであるが、地域コミュニティの継続や補強が、災害復興における人びとの心のケアにとっても重要であることを考慮すると、提供される住宅がどこに立地していても、個別世帯ごとに対応して、結果的にばらばらに居住することは絶対に避けるべきである。入居する人びとの安心・安全そして生活再建が大前提である(これまでの地域でのコミュニティの状況を反映し、それらを配慮した形での移転や仮設住宅の建設が不可欠)。そのことは仮設住宅の建設にも当てはまる。これまでの経験では仮設住宅に入居してから孤  独死する事例や生活不安に陥れられる事例が多く指摘されてきた。物的な住宅の確保とともに、身の回り相談や心身のケアサービスなどの人的配置を重視する必要がある。また住宅ばかりでなく、同時に集会施設や調理の共同作業ができ、食事を一緒に取れる環境などにも配慮することも必要である。

2)地震被害が中心の地域

・被災した建築物の修復、補強及び助成制度の整備。 

 

・これからも予測される強い余震などに対する建築物、道路、橋などの耐震化の促進。

 

・液状化により被災した建築物の修復、補強及び助成制度の整備。これからも液状化の予測される地域の対策。

3)原発不安を抱える地域

・今回の東日本大震災で最も深刻な被害の一つは原発事故である。原発自体の安全性に対する復旧がいまだに実現されていない。また放射能漏れが相次ぎ、大気はもちろん、水・土壌・作目などの汚染が確認されている。特に原発立地地域の人びとの不安は、極致に達している。

 

・この地域における復興とは、どういう姿を想定していいのかが今のところ見通しが立っていない。つまり、これまでに避難指示・避難勧告・自宅待機などの指示が出されており、多くの住民は避難生活を余儀なくされているが、今後の見通しとして、戻るに戻れない、戻りたくない、生計の見通しが立たない、など複雑な心情の間を揺れ動いている。

 

・あらためて、以前の市町村行政が現地で成り立つのか、隣接市町村などとの合併などによって、住民を受入れ役場機能を統合させるのか、事態は予断を許さない。しかし、自治体の日常不断の公共サービスの提供は待ったなしである。4月からの義務教育はどうするのか、医療福祉サービスなどは?これらの点は津波被害、地震被害を受けて、市町村機能が壊滅的な  被害を受けたところは共通の緊迫した状況が続いている。

 

・そこで、避難を強いられている自治体機能と住民生活、それぞれに現在の避難状態で最善を尽くすことはもちろんであるが、役所機能の確保場所や人員配置、仮設住宅の立地場所や戸数、民間住宅などの借り上げ、など仮設的な復旧計画の立案の手順を確定しなければならない。とりあえず、可能な限り、避難生活を強いられている住民の意向調査を行い、できるだけこれまでの居住地に近い県内の、安全な場所への仮設住宅などの立地場所や戸数などの見通しを立てていくことが必要である。特に国は、チェルノブイリ等の状況を踏まえ、さらに現在の科学的知見から、根拠を公表し、安全な範囲をどこにすべきかを明確にしたうえで、避難の形態を避難圏内の住民に示す必要があるのではないか。

・このような緊急避難・仮設的対応を進める中で、復興のプログラムを策定することになろう。例えば、とりあえず今の段階で想定される選択肢は以下のようなものになろうが、その前提は、原発の安全・安心が一定程度確立できる場合とその不安が引き続き解消できない場合とであるが、当面は後者での対応を考えなければならない。いずれにせよ、とりあえず原発から20km圏(あるいは30km圏か)の外側を目途に、一定の範囲を設定しなければなるまい。

 

1)20km圏に含まれる自治体は、中期的な視野で、福島県内の比較的近い自治体に仮設役場を設置、その圏域に仮設住宅を建設する。不足する住戸数も可能な限り、近接する自治体領域の中に仮設住宅を確保する。関係市町村の協力も得なければならない。つまり、そのような中期的な見通しの中で、義務教育や医療福祉、住民サービスを受入れ自治体と共同で行うことを考えなければならない。住民の方々の仕事確保などの見通しをつけながら、自治体のあり方についての住民の意向を丁寧に把握することも必要である。この場合、集団的に避難している住民だけでなく、個別あるいは小集団で避難している住民とのコンタクトに十分配慮しなければならない。県の立場としても、農業者のために、比較的再活用できそうな遊休農地などを積極的に活用する方途を提供すべきである。あるいはグリーン・エネルギー産業やそれを基本にしたモデル・ビレッジなどの検討を進め、新しいコミュニティ・ビジネスの可能性も探る必要があるだろう。

2)20km圏外の自治体では、仮設役場機能を従来の自治体圏域の範囲内に確立する。ここでも、とりあえず、避難生活から仮設住宅への移動を進めるために、住民の意向調査を早急に進めることが必要である。他の自治体に転居する住民もいるだろうが、選択肢として、将来に向けての地域社会のビジョンを提示する作業は重要である。コミュニティやふるさとへの志向が強い場合にはなおさらである。仮設住宅の立地場所が当該自治体圏域内では無理な場合には、1)と同様、可能な限り、近接する自治体にその立地を確保することが望ましい。それによって、教育や医療福祉サービスあるいは住民サービスについて、受け入れ自治体との連携が取りやすいと考えられるからである。

3)このような選択肢意外に、困難な選択肢が残っている。それは例え20km圏内であろうとも、自宅や自分の農地などとは離れたくないという希望の強い住民も多くいると考えられる。これらの住民に対して、どのような災害復興の道すじを合意していくかである。すでに上記1)、2)において、仮設住宅を近接市町村に確保すべきとしたのは、このような住民の意向にも沿うものと考えられるからである。

4)広島・長崎、スリーマイル島、チェルノブイリなど放射能被害地のその後の生態系の変遷や復興過程などについての徹底的な調査分析を行いながら、当該地域の住民の生命を守り、生態系の保全を進めることを前提とした復興計画の立案が求められるであろう。