⑦仮設住宅建設

仮設住宅問題の原点は、やはり避難生活を強いられている人々の要求であり、復旧・復興に向けた期待や意気込みである。そしてそれらの人びとの息遣いと課題・要求を最も身近に接することにできる市町村行政である。仮設住宅の建設場所や戸数をどのように決定していくか。そして、たとえ仮設とはいえ、そこで展開されるライフスタイルやコミュニティとしての活動の醸成をいかに想定していくかも重要である。もちろん、不眠不休の活動をしている自治体職員だけでなし得る課題であるまい。となれば、このような政策形成と合意形成をどういう場とプロセスそしてマンパワーで行っていくかが重要なポイントである。

 

今日までの仮設住宅計画の多くは、県と市町村の公共用地を候補に上げ、その敷地図面を、国交省が仲介するプレファブ建築協会に送り、レイアウトを含めた設計を依頼している。そこで配慮されているのは緊急性と戸数確保が中心である。避難する人々の安らぎやコミュニティなどの維持などを考慮して、集会施設やケアのためのスタッフのたまり場などを考慮しようとすると、補助対象かどうかが直ぐに問題になっている。政府の基準を何とかしないといけないが、市町村の要望を受けながら、国への働きかけをさらに強めていく必要があろう。特に今回の災害は、津波災害地域であろうと原発災害地域であろうと、長期間の仮設住宅居住が予想されるので、地域コミュニティとしての機能を高めていくことや高齢者や障がい者あるいは子どもたちの心のケアを重視していくことが特に配慮されなければならない。

 

そして、順次建設の段階に入っていくが、この建設を担うのはプレハブ建築協会の大手プレハブメーカーが中心であるといわれてきた。更にいえば、その工事を担う職人・大工なども大手プレハブメーカーが、全部パッケージで派遣してくるとも聞いた。それは阪神淡路大震災や中越地震の時も同様だったと聞く。今回は、特にわが国における構造不況や地域経済の低迷の中での大震災であり、地域経済の再生や地域産業の復興が叫ばれているにもかかわらずである。既に幾つかの自治体で取り組まれているが、木造の仮設住宅の建設も積極的に取り組んでいくべきである。居住環境が良くなるばかりでなく、地元の産業の復興にも大きく貢献できるはずである。

 

少しずつ、そのような方向での対応が生まれてきている。4月5日段階で、福島県では、その辺の展開を聞くことができた。14、000戸の仮設住宅建設計画のうち4,000戸を地元建設業に担ってもらう方針を固めた。そのような方針転換は、その仮設住宅の建設や管理運営が地域コミュニティ再生や地域生活の再構築そして復興計画への道すじを示すものであり、その意味するところは大きい。地元の建築家や建設業界そして材木などの住宅資材業界などが、画一的ではない仮設住宅を創造的に企画・設計・建設し管理運営していくシステムを早急に構築していくことが早急に求められている。

 

仮設住宅において、特に「ケアつき仮設住宅」の導入は極めて有効である。デイサービスやヘルパーの拠点を。仮設住宅を含めた各地域に配置し、行政職員(前述のように幅広い職員を動員するなどして)も常駐するようなシステムはできないだろうか。

 

家賃は取らないが、水光熱費は負担。阪神大震災では料金滞納を理由に水道を止められ、仮設居住者が死亡するという事件も発生した。 

 

今回の大震災における仮設住宅建設について、もう一つこれまでにない大きな課題に直面している。それは原発災害地域における仮設住宅問題である。結論を先に言えば、二段階(三段階もありうるかもしれない)供給計画を採用せざるを得ない場合が出てくることである。そういう仮設住宅建設についての特別の財政的支援を国は行うべきである。現在、原発災害の収束の目途は立っていない。例え、一定の収束の方向や時期が見えてきたとしても、放射能汚染の継続性を考えれば、いくつかの自治体では、例え住民の要望が強くても、従来の市町村エリアに仮設住宅を建設することは困難を極める。また隣接自治体に仮の自治体機能を配置し、そこに仮設住宅を建設することが可能であっても、原発災害の今後の趨勢によっては、さらに避難エリアが拡大することもありうる、避難エリアが縮小する逆の場合ももちろんありうる。

 

こういう見通しの中でさえ、当該自治体の住民の避難所生活を継続してもらうことはもう限界である。すこしでも地域コミュニティと家族生活の最低限の水準が満たされる仮設住宅の提供は急務である。当該自治体の執行部はこの政策判断に苦吟している。当該自治体に仮設住宅を建設したい、住民の中にはそれを熱望している人たちも少なくない、しかしそれは大きなリスクをともなう。

 

放射能汚染の収束はこれから数年、10年と言う単位で見定めなければならない。となると、第一次仮設住宅は、現時点で比較的安全地域とみなされる隣接市町村に建設を受け入れてもらい、そこで一定期間〈場合によっては長期になる可能性もある〉生活を再建し、その過程で、従来の自治体エリアの推移を見極めて、場合によっては、元の自治体の復興と地域社会・住まいの復興と仮設住宅の建設を抱き合わせていくというシナリオを一段階挟み込むことが必要である。そういう二段階仮設住宅建設方式の導入をぜひ認めるべきであろう。これとても当該自治体や住民にとっては苦渋の選択である。